
印刷してわかる! “ちょうどい…
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2025
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制作のコツ
[コラム]
パンフレットを作ったあと、印刷してみたら「思ったより文字が小さい」「なんだか読みにくい…」と感じたことはありませんか。
画面ではきれいに見えていたのに、紙になると急に印象が変わる。これは誰もが一度は経験する“資料作りの落とし穴”です。でも、原因はセンスではなく、ほんの数ポイントの文字サイズ差にあります。この記事では、印刷して体感できるPDFサンプルを通して、読みやすさの“ちょうどいい”を一緒に探っていきましょう。
▼短時間で要点をつかみたい方へ
・文字サイズの目安だけ知りたい → 第2章「文字サイズ目安」へ
・実寸で試したい → 第3章「PDFで体感」へ
▼じっくり理解したい方へ
「読みやすいパンフレット」をつくるには、フォントや装飾よりも“文字サイズ”が重要です。
この記事では、A4実寸サンプルを印刷して体験できる形で、読みやすさを手軽に検討していただくことができます。
目 次
パンフレットを作るとき、「色」「写真」「レイアウト」等に注目が行きがちですが、文字サイズは意外に軽視されやすい要素です。
でも、ほんの1ptの違いでも、読みやすさ・印象・読み疲れに大きく影響することをご存じでしょうか?
視覚・タイポグラフィの研究においても、印刷文字の「可読性(legibility/読み取りやすさ)」や「識字速度(reading speed)」には、文字の大きさ・形が深く関係するといわれています。(参考文献)
「印刷文字は読む距離(視距離:眼と視線の対象物)」が重要で、一般的には 約40cm前後を想定して設計するケースが多いという見方があります。これを前提に、文字サイズを考えるのがよいとされています。
他にも文字間・行間など調整すべき点があるのですが、今回は文字サイズに焦点をあてて紹介します。
パンフレットづくりでは相手に文章を読んでもらえるよう“読み心地”を意識してみましょう!
A4サイズでパンフレットを制作する際の一般的な目安を紹介します。もちろん一例ですので、これが正解というわけではないので、参考までとどめておいてくださいね。
冒頭で紹介した「読む距離」。
A4パンフレットの場合、平均的な閲覧距離は約40cm。これを基準に設計すると、自然と読みやすいサイズ感といえますね。
また、印刷物向けに “本文 11pt・行間 15pt・1行あたり文字数 60字前後” などが「読みやすさの目安」とされる意見もあります。
資料を作る際にはぜひ試してみてください。
サイズを決めるときは「読者がどの距離で見るか」を想定しましょう。パンフレットとポスターだと文字サイズの考え方が全然違ってきます。
今回の大目玉!下のリンクからA4実寸PDFサンプルをダウンロードして、プリントアウトしてみましょう!
どなたでも無料でお使いいただけます。ご報告も必要ありません。
※この資料は社内での閲覧・共有を目的としています。本資料の内容(文章・画像・データ等)の無断転載・引用・SNS等への投稿を固く禁じます。
PDFには、5〜12ptの文字サイズを比較できるようにしてあります。実際に印刷して見比べると、画面では気づかなかった差がはっきり感じられるはずです。
また、同じサイズでも明朝体とゴシック体でも印象が変わります。ぜひ手にとってじっくり眺めてみてくださいね!
つまり、同じ内容でも“伝わりやすさ”が変わるということ。
これは、フォントサイズをただのデザイン要素ではなく、情報伝達として重要性を捉えることができます。
読みやすさの判断は、モニターではなく「印刷した紙」で行うと失敗が少なくなります。
文字サイズを調整するとき、プロのデザイナーが気をつけているのは“詰めすぎないこと”です。
パンフレットは一度に多くの情報を伝えたくなりますが、余白を犠牲にすると可読性が一気に下がります。
明朝体は線の太さに強弱があり、文字の重心が高く見えるため、同じ10ptでも実際より小さく感じやすいフォントです。
企業案内や会社概要など、「落ち着き」「信頼感」を重視したパンフレットには適していますが、
小さすぎるサイズで使うと、線が細くつぶれやすく、印刷時に読みづらくなることがあります。
▶ 明朝体のおすすめサイズ
本文:10〜10.5pt/小見出し:11〜12pt
※高齢者層や閲覧距離が長い場合は+0.5pt上げるのが安心です。
一方のゴシック体は線が均一で、画面でも紙でも太さによる安定感があるのが特徴です。
同じ10ptでも“やや大きく・読みやすく見える”傾向があります。
情報量が多いパンフレットや、見出しをしっかり立てたい場面に向いています。
余談ですが、昨今スマホで文字を読むことが多く、視認性の高いゴシック体が主流です。
▶ ゴシック体のおすすめサイズ
本文:9〜9.5pt/小見出し:11〜13pt
※本文をゴシック体にする場合、サイズを少し下げても視認性が保てます。
実務では、フォントによる「見かけサイズ」の違いを前提に、「同じページ内で明朝とゴシックを併用する場合、明朝側を0.5pt〜1pt大きくする」
という調整がよく行われます。
たとえば本文を明朝体10.5pt、小見出しをゴシック体11ptに設定すると、見た目のバランスが自然に整います。
明朝体は小さく見えがち、ゴシック体は大きく見えがち。 同サイズでも“見え方”が異なるため、フォントごとに実寸で比較しましょう。
この記事でお伝えした内容を振り返ってみましょう。
パンフレットの読みやすさは、デザインのセンスではなく“設計”で決まります。
まずは、この記事のPDFサンプルを印刷して、手元でサイズ感を確かめてみてください。
実際の文字を“数値として”意識できるようになると、パンフレットや資料づくりのスピードも上がり、文字サイズの迷いが減っていくはずです。
今回ご紹介した数値は、あくまで一般的な指標です。
人の視力や年齢、照明環境によって「ちょうどよいサイズ」は変わります。
もし社内資料やパンフレットを見たときに、「少し読みにくい」と感じる人がいるなら──
それは改善のサインです。
文字サイズを“調整して適応する”ことは、情報を届ける相手への思いやりでもあります。
印刷して確かめながら、読みやすさを育てていくプロセスをぜひ取り入れてみてくださいね!
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